炉・薄茶・貴人清次
■貴人清次について■
 「貴人清次」というのは、貴人に随伴のあった場合の貴人にもお伴にも茶を点てる作法。
 
【清】というのは、貴人。【次】(つぎ)がお伴のこと。
 貴人碗は天目のものを木地の台にのせて茶巾、茶筅、茶杓を仕組み
、菓子も高杯に盛りますが、
 次茶碗は普通の茶碗ですが、茶筅は貴人の【清】が白竹に対して、【次】は煤竹の数穂を用います。

 茶巾は普通のものを使いますが、畳み方が特殊で、これを『千鳥茶巾』といいます。
これを膨らみを手前にして茶碗に仕組みます。
 また、十一世玄々斎の創案なる炉の点前の千鳥茶巾をのせるための炉縁の角を切られた形の二等辺三角形の板を、山形に懐中して席入りする。畳付のしるしとして、松葉、ツボツボなどの焼印が押してあり、この方を向こう向きに懐中あい、畳につくように置くのがお約束。(但し、宗匠の花押があれば、この方を上にする)

点前にかかる前の準備

・ 薄茶器に中高になるようにお茶を入れる。
・ 茶筅は、水で清める。
・ 天目茶碗を貴人台に載せ、茶巾、茶筅、茶杓を仕組む。
・ 水指に八分目の水を入れる。
・ 炉用の竹の蓋置を使用(節を中ほどに切った中節)
・ 柄杓を準備。(柄のつき方は月形。合が大ぶりで皮のほうを斜めに切ってある)
・ 棚を貴人畳のへりから畳の目数十六目向こう、中央に揃える。
・ 地板に水指、天板に棗を飾る。
・ 水次を用意し、茶巾を蓋上にのせておく。
            ・ 釜の蓋をきっておく。

            ・ 帛紗を腰につける

▲千鳥茶巾の畳み方▲
 1、端を写真のように折る。2、反対側を折る。

  3、上から2つに折る。4、親指が中に入ったまままた2つに折る。

  5、上から少し折って表向きに向きを替える。千鳥の羽が出たようにたためます。

  6、これをふくらみを手前にして次茶碗に仕組む。


● 菓子は貴人は高杯、お伴には普通の干菓子器を別に持ち出す。


点前

■茶碗を運び出す■

1、貴人の台茶碗を建付けに置き、茶道口を開け、両手を揃えて一礼する。(真)

2、貴人台を運び出し、畳の中央を進み、棚の正面に坐り、台茶碗を、勝手付に仮置きする。

3、
棚の棗を右手で下ろし、水指前右方に置く。

4、仮置きの貴人台を右横、左手前と取り上げ、左横、右手前と持ち替えて、棗と置き合わせる。

5、勝手口に入り次茶碗を右掌にのせ、左手に建水を持って席入りし、襖を閉め、居前、外隅ねらいに坐って、手なりに建水を置く。

6、次茶碗を左に渡して勝手付に置き、左手で柄杓をとり構え、右手で建水の中の蓋置を取り、畳の縁より3目ずつのところに置き、柄杓を蓋置きに斜めに引く

7、左手で建水を膝前の線まであげて、居ずまいを正し、貴人台を右手前、左手横と持って取り上げ、右手を横にして膝前少し向こうに移動させる

8、棗を半月に取り、茶碗と膝の間に置く。

9、左手で腰の帛紗を取り、(さば)く。そのまま帛紗を握り込み、左手で棗を取り、清める。

10、そのまま帛紗を握り込み、棗を左手で上から持って棚の手前右角に置く。

11、帛紗を捌き直して左手に持ち、右手で茶杓を取り、清め、棗の上に置く。

12、右手で茶筅を取り、棗の右側に置き合わせる。

13、帛紗を左手の人差し指と中指の間にはさんだまま、柄杓を右手で取りかまえ、右手で帛紗を取り、釜の蓋にのせ、開け、露をきる。

14、蓋を炉縁の角を避けながら、蓋置に置き、帛紗を左膝前に仮置きし、蓋の上に茶巾をのせる。

15、柄杓を持ち直し、湯を汲み、茶碗より合一つ分上に持ってきて、湯を茶碗に入れる。柄杓を釜にあずけ、

16、右手で茶筅を取り、左手を軽く茶碗に添えて茶碗を右手で一度打つ。

17、右手左手と両手で台縁を持って手前に寄せ、左手を茶碗に添え、茶筅通しを二度上げ三度打ちして、穂先を清める。茶筅を元の位置に戻す。

18、茶碗を右手で取り、左手も添えて取り上げ、左手片手で建水に湯を捨てる。

19、茶巾を右手で取り、茶碗を大きく三回半拭き清める。

20、茶碗に茶巾を入れ、左手を添えたまま茶碗を台にの、茶巾を釜の蓋の上に置く。

■茶を点てる■

21、右手で茶杓を取り、左手を畳に軽くおき、頭を下げ「お菓子をどうぞ」 とすすめる。

22、
棗を左手で上から取って、右手で右横を持つ。棗を手のひらにのせ、茶碗の左上で蓋を取り、右ひざ前に置く。


23、茶を二杓ほどすくい茶碗に入れ、茶杓を持ち替えて茶碗の縁で静かに打って茶を払う。

24、棗の蓋をし、右手で扱って左手で置き、茶杓を棗の上に戻す。

25、右手で水指の蓋の摘みを取り、左手で横に持ち替え二手で、水指の左側に置く。

26、柄杓を持ち、湯を汲み、茶碗に入れる。残りを釜に返し、静かに柄杓を釜にあずける。

27、その手で茶筅を取り、茶を点てる。茶筅は元の位置に戻す。

28、貴人台を右手左手と持ち、取り上げて客付に回り、台縁を右向こう左手前と上で回して定座に出す。
左膝右膝と一膝退いて両手を畳につけ控える。

○ 
お次が、このお茶を取次ぐ。

●貴人の喫み方は法なしといいますが、お稽古の場合は、お茶が出されると、まず取り次がれた貴人台を両手に取り上げ、縁内次客の間に取り込み、、次客に「お先に」と次礼し、正面に置き、「お点前ちょうだいします」(真)と挨拶し、貴人台を右膝頭に置いて茶碗を取り上げ、左手にのせ感謝の気持ちでおしいただき、正面をさけ時計回りに回しいただく。

29、亭主はこれを受け、

30、一口喫まれると、「お次へも差し上げます」 と挨拶をし、居前に戻る。

● 貴人が薄茶を喫み終わり茶碗の拝見も済むと、お次から 「お茶碗拝見」 と請う。次の縁内に茶碗が回ってくると、次礼して拝見し、次は縁外で回す。

31、次茶碗を左手で取って右手で膝前に置き、次茶筅を建水の右方上座において、千鳥板を懐中から取り出し、縁から畳目二つ目炉の線に揃えて出し、

32、千鳥茶巾をその上にのせ、
 
33、茶碗に湯を入れ、煤竹の次茶筅を取って
二度打ち一度上げで茶筅通しをし、茶筅を元の位置に戻す。

34、湯を捨てて千鳥茶巾でぬぐい元に戻し、茶を点て、定座に出す。

● お次の茶が出されると次の上客がこれを取り込み、
膝前に置き、貴人に 「お相伴を」 の挨拶をし、左方において 「お先に」 の一礼をし、膝前に置き 「お点前頂戴いたします」 の礼をして茶碗を取り上げいただきます。

35、
お次の一口で亭主は、帛紗を右手で取り、左手に打ちかえして腰につける。(婦人、共蓋の場合)

36、貴人の台茶碗が返ると、亭主は客付に回ってこれを取り込み、湯ですすぐ。

37、左手で茶碗を取り、湯を建水にあけ、貴人から、ここで 「おしまいください」 の挨拶があればこれを受ける。

38、茶碗を右手で下に置き、あらためて 「おしまいさせていただきます」 と、しまいの挨拶をする。

■しまいつけをする■

39、右手で柄杓を取り、水指から水を汲み、茶碗に入れ、しまいの茶筅通しをする。

40、茶筅を茶碗の横に置き、建水に水を捨て、右手で茶巾を取って、茶碗に入れる。

41、茶筅をとじ目を上にして茶碗に入れる。

42、建水上座の煤竹茶筅をその跡に置き換える。

43、貴人台を両手で取り上げ、勝手付に仕舞いつける。

44、次茶碗がかえり、湯ですすぎ、また点てて出す。お次の上客から 「おしまいください」 の挨拶がかかると、「白湯でもいかがですか」 の挨拶をし、

45、水を入れ、一度打ち「の」の字と茶筅通しをし、

46、水を捨て、千鳥板を懐中し、

47、次茶筅も仕組み、

48、右手で茶杓を取り、左手で建水を下げる。

49、帛紗を捌き、 茶杓を清め、次茶碗にふせて置く。

50、帛紗の茶粉を建水の上で払い、腰につける。

51、棗を右手で、水指の右寄りに置き合わせる。

52、次茶碗を、棗の左側に置き合わす。
 
 53、釜から柄杓をとり、水指から水を汲み、釜に水を一杓さす。そのまま柄杓を釜に入れ、湯をたっぷり汲み、湯返しをする。

 54、柄杓を構え、釜の蓋を閉め、柄杓を引く。

 55、水指の蓋を閉め、正客から「お棗、お茶杓拝見を」の拝見の挨拶があれば、受ける。

56、柄杓を居前から右手で取り、棚に荘る。

57、蓋置きを右手で取り、左手にのせ、水指の正面に向く。蓋置を右手に持ち替えて、棚に荘る。

58、次茶碗を台茶碗と建水との中間、勝手付に割りつける。

59、棗を持って、客付きに回り、棗を膝前に置き、帛紗を捌いて清める。

60、帛紗を膝前に置き、棗の正面を正し右手で左側に出す。

61、
帛紗は腰につける。

62、水指正面に回り右手で茶杓を取り、左手に持ち替え居前に回り、右手で棗の右に置く。


■水指に水をつぐ■

63、水指正面に回り、次茶碗を右掌に、左手で建水を持って勝手に退く。

64、続いて、貴人の台茶碗を持ってさがり、
茶道口建付に置いて、貴人に一礼する。

65、水次を持って入り、棚前左に手なりに置く。

66、水指の蓋を右手で取り、左手で扱って、水指の左横に立てかける。

67、茶巾を水次の口にあて持ち上げ水指に水をつぐ。(丸卓の場合は棚にのせたままでつぐ)

68、茶巾を水次の蓋上に戻し、水指の蓋を扱って閉める。

69、水次を正面から持って下がり、襖を閉め、拝見の返るのを水屋で待つ。


● お次は棗、茶杓を貴人に取り次ぎ、自らも拝見をし、終わると、定座に返す。 

■あいさつに答える■


70、亭主は拝見物を取りに定座に座り、正客からの拝見物の問いに答える。
 「棗のお形は?」「お塗りは?」「茶杓のお作は?」「ご名は?」
 の問いに
 「棗は中村そうてつで、ございます。」
 「杓は寛道でございます。」「寿山でございます」 などと答えて、
 「いずれもありがとうございました」 と、挨拶する。

71、右手で棗を取り、左手にのせ、右手で茶杓を持つ。

72、立ち上がり、拝見物を持ってさがり、茶道口に坐り、建付に拝見物を置き、総礼して襖を閉める。



◆お稽古の手引き◆ 

●客の心得●

●割り稽古●




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