◆和菓子◆
 ◆饅頭◆ ◆羊羹◆ ◆桜餅◆ ◆金つば◆ ◆黄味しぐれ◆ ◆金平糖◆ ◆ういろう◆ ◆椿餅◆

和菓子の話

◆饅頭◆

 和菓子の代表として親しまれている饅頭は羊羹同様、中国生まれ。
 鎌倉から室町時代に中国に留学した禅僧が伝えた点心の一つとされていてその説は二説ある。。


 一つは博多承天寺の開祖が1241年宗より帰朝し、茶店の主人、栗波吉右衛門に酒饅頭の製法を伝えたというもの。
 この饅頭は店の屋号にちなみ、虎屋饅頭として広まることとなった。という説。
 (赤坂虎屋さんとの関係はあるんでしょうか?)
 この承天寺の開祖、聖一国師は博多では、羹、饅、麺を伝えた人物として祭っている。


 もう一つは、1341年来朝した林浄因が日本で薬饅頭を作り始めたという説である。
 これはふくらし粉を使った饅頭とされ、林浄因は帰化し、家系の者が塩瀬姓を名乗ったことから塩瀬饅頭として知られるようになった。
(塩瀬饅頭の名の由来?)

 しかし、日本での饅頭の始まりは鎌倉時代よりも前で、野菜などを中身とし汁をかけて食べていたものと考えられている。
 (おやきのようなものでしょうか?)

 ● 薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)
  …すりおろした薯蕷芋(つくね芋)に
米粉(こめこ)(上用粉、上新粉など)を混ぜて生地とした饅頭。
    真っ白な仕上がりが美しい。
    高級なものという意味を込めて上用饅頭とともいう。


 材料にちなむ饅頭…木の芽饅頭、葛饅頭、栗饅頭、酒饅頭、紫蘇饅頭、そば饅頭、茶饅頭、麩饅頭などがある。

 形状にちなむ饅頭…田舎饅頭、薄皮饅頭、(おぼろ)饅頭、織部饅頭、腰高饅頭などがある。
 そのほか      …温泉饅頭、
饅頭、利休饅頭がある

◆羊羹◆

 本来、羊羹は、文字通り羊の汁物のこと。
 日本に伝えられたのは鎌倉から室町時代。
 中国に留学した禅僧がもたらした点心のひとつとされ動物肉に見立てた食べ物であったと推測される。
 禅僧は肉食が禁じられていたこともあって植物性の材料を使った料理が作られ、小豆や小麦粉、葛粉などを混ぜて蒸し固め、羊の汁物の色や形に似せたと考えられる。
 江戸時代以降しだいに甘みを増したものが作られ、菓子として人気を博すようになった。


◆桜餅◆

 塩漬けした桜葉の香りがゆかしい春の代表菓。
 江戸時代に江戸向島長命寺の門番が周辺の桜の葉を利用して売り出したことに始まると伝えられる。

 (長命時の桜餅の由来ですね)

 江戸で桜餅が流行すると各地で真似をして作られるようになり、しだいに関東は小麦粉生地を薄くのばして焼いたものに餡をはさんだもの。
 関西は米の粒が見える道明寺生地が主流になった。

◆金つば◆

 四角い形が主流だが、本来はその名の通り刀のつばを思わせる丸形で、指で押し跡をつけつばの形により似せたものも作られていた。
 (刀のつばから、その名がきてたんですね)
 金つばが作られる前に京都で売られた餡入りの焼餅の銀つばという菓子があり、その後江戸に伝わるが、上方の銀貨幣主体に対し、江戸では金遣いだったためか、小麦粉生地に替えたものが金つばの名で売られるようになったという。
 製法は変化し、今では寒天などで固めた餡生地に水ときした小麦粉をつけて焼くのが一般的。


◆黄味しぐれ◆

 新粉などに小豆餡を混ぜ、裏漉ししてそぼろ状にし、枠に入れ蒸した棹物を時雨羹(村雨(むらさめ))とも)そして型を使い、この生地に餡を入れ、一個ずつ作ったものを時雨饅頭という。

 黄味時雨(黄身時雨とも)はこの時雨饅頭の応用。

 一般に外側が黄身餡のそぼろで中に白餡が入る。
 卵の黄身の色によって、どこか洋風な感じもする。

 明治から昭和時代の菓子製法書では、「君時雨」と書かれていることがあるが、現在では名は体を表す式の「黄味」や「黄身」の表記が多くみられる。

 ほっくりした食感が魅力の黄味時雨は黄身餡に上新粉を加えた生地で小豆餡を包み蒸したもので、先の時雨種より後発であるが今では、こちらがよく知られている。

 黄身餡生地の間に紅餡を入れ、亀裂からうっすらと太陽の光がもれるように紅色が見えるようにしたものもあるが、見た目に亀裂が入るように作るには、生地の配合や焼く時の火加減が難しいものであるらしい。

◆花びら餅◆

 丸い餅(あるいは求肥)に紅の菱餅をのせ、味噌餡と甘煮した牛蒡を置き半円形に折り畳んだもので葩餅とも書く。

 形は皇室の正月行事におせち料理やお供え、配り物として使われる菱葩に由来している。

 明治時代、裏千家11世玄々斎が宮中より許されたことで、江戸時代までは宮中内でのものだった由緒あるこの菱葩は初釜の菓子として使われるようになった。

 梅や桜の花びらに見立て、新春を祝う餅菓子は丸と菱の合体から子孫繁栄や太平の願いも表している。
 牛蒡は、宮中のお
歯固(はかため)めの儀式【長命の願い】に用いられた鏡餅にのっていた押年鮎(おしあゆ)にみたてている。
 裏千家では
独楽(こま)盆にのせて初釜に毎年使われている。

◆金平糖◆

 ポルトガルから伝わった代表的な南蛮菓子の一つで砂糖菓子を意味するConfeitoからその名がついたという。
 現在、ポルトガルでConfeitoを探すと、多くはドラジェのように糖衣で覆われた菓子となる。

 日本のように角のついたものはポルトガルの古都コインブラなどで作られている程度だ。
 それは、5日間くらいで完成させてしまうので、日本の10日から2週間ぐらいかける角のきれいな代物とは異なる。
 回転する釜を使い、芥子の実に砂糖蜜を何度もかけて結晶を作っていく作業は同じ。

 現在日本では、芯にグラニュー糖やもち米を原料とするいら粉が用いられる。

◆外郎(ういろう)◆

 外郎とはもともと薬の名前。

 外郎により持病が治った二代目市川団十郎が江戸森田座で外郎売に扮し話題になった歌舞伎十八番である。

 薬のほうは現在、銀の小粒だが当時は黒で、黒砂糖を用いた生地の色合いが似ているためこの名がついたとされている。
 この薬の外郎を製造販売し、名前を広めたのは
大年宗奇という人物で、元朝滅亡後日本に帰化し、透丁香(貴人が冠の中に忍ばせる薬)を売り出し、評判になったという。この透丁香の別名が外郎で、父が元朝で礼部員外郎という官職についていて、その官職名からとったという。後年、子孫は小田原に移り広大な邸宅を持ち、この外郎家を小田原藩主が保護したことから、外郎は小田原名物となった。

 現在は小田原以外にも名古屋、山口、三重など、外郎を名物とするところは多い。
 砂糖を溶かし、上新粉などを混ぜ、蒸したものだが、小豆、紫蘇、黒砂糖など風味も色々あるようだ。

◆椿餅◆

 日本最古の餅菓子の一つで『源氏物語』などに登場する。
 緑艶やかな椿の葉にはさんだ餅菓子で椿の花が咲く2月頃に作られることが多い。





◆茶道にかかわるオススメ本◆
〈茶の湯〉 〈茶道具〉
〈和菓子〉

〈着物〉


◆和菓子について◆
〈和菓子の材料・粉〉
〈和菓子の材料・豆〉






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