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柚子の闘病日記・no2



2月17日火曜日
日本動物高度医療センター
▼朝からの記録▼

少し寝坊したけれど、普通に散歩をして急いで朝食済ませ、予定の15分遅れの7時45分に家を出る。地図通り、迷うことなく、日本動物高度医療センターに到着。
午前8時15分、予約の9時には、だいぶ早く到着。
春の陽気は昨日午前まで。
今朝は、強い北風。気温をますます下げ、凍みるほど冷たい。

柚子は、お出かけにしては寂しげなところだしと思ったのか、不安がって外にオシッコに連れて出たが、もっと行きたいという意思表示をしなかった。
お出かけが大好きな柚子にしては、めずらしい。
感のいい柚子。病院に連れてこられたことを理解しているのか?
開院するまで車で待つ。その時も落ち着かない。

場所は、二子玉駅を越えて、二子橋を右折して、まもなくのところ。
その名が示す通り、最新の医療設備のある動物の病院で、外観も真新しくクリーンな感じ。
入り口の自動ドアは二重になっていて、一つ目が閉まらなければ奥の一つは開かない仕組みになっていた。リードを外したまま待合室で待っているわんちゃんが多いので、飛び出しを防止するためらしい。ここを訪れる動物たちへの気遣いも、再診医療を揃えただけではなく、さすがだと感じた。

人間の総合病院のようだった。
待合室のスペースも十分だし、水を与えるための用意もある。
勿論、何処へ行く時も連れていってかまわない。トイレへ行く際、一緒に入ってかまわなかった。

代沢動物病院では再診の際、詳しい検査ができないことを告げられた。
その検査ができる病院へ行く前に、その判断を友人である専門医に原因箇所を写真に撮ったものを見せ、相談してもらった。
2日後、専門医の見解で、悪性黒色腫(メラノーマ)可能性大と告げられた。

検査は、専門機器のある病院に行ってできるという。
それは、近郊には二つあって、すぐに検査をしてもらえる可能性が高いのは、二子新地にある日本動物高度医療センターだといわれた。

greと話し合い、原因は追究しようということにし、予約をしてもらうようお願いする。

そして今日、十分なカウンセリングから始まった。
これまでの経緯。そして触診。
メラノーマの可能性には、「そうであるとは思えない」という初見だったけれど、リンパ節の腫れがあるので、歯の疾患によることかもしれないとのことを言われる。

検査にかかる費用は覚悟していたが、見積もりをお願いした。
多分こちらでは、結構な金額になりますよ。ということで、事前にこういったことをされているのだろうと思った。あちらから、見積もりが必要ですかと聞かれた。

代沢動物病院さんでは、10万円位と聞いていた。
はるかに上回る17万円という金額だった。
この不況な時に、我が家の家計を大きく揺るがす…。愕然とする。

greにメールを入れた。
すぐのリターンはなかった。
カウンセリングの時間だけですでに1時間半近く過ぎていたので、判断することにした。

癌の治療や自分が、病気に対して思う死生観みたいなものは、後回しだわという気持ちになった。
とにかくは、原因が何であることをつきとめて、柚子と接していくのが、やりきれない不安な思いを日々過ごすより良いと思った。

検査をお願いする。

細胞の病理検査だけは、結果に一週間ほどかかるとのことだった。
各専門の先生が、あらゆる診断をしてくれるということもあるらしい。

レントゲン、麻酔適応のための血液検査等、事前検査まで病院にいることにする。
我が家には、かぼすと甘夏というコもいるので、付きっ切りでいてあげることはできなかった。
一旦戻り、することを済ませて再度来る予定でいた。

1時間半ほど後、診察室に呼ばれ、麻酔に対して、腎臓の数値には問題点ないので検査が進行できることがわかる。
レントゲン検査では、肺付近に影があり、転移の可能性もあると告げられる。

麻酔の同意書を書き、その後、造影剤、CT検査は2時位から始めるとのことだった。
一旦、かぼす、甘夏の散歩を済ませに戻る。

2時、病院に再び到着。
3時、柚子が問題なく、麻酔から覚めたとの連絡が待合室で待つ私の携帯に入る。
greに逐一メールを入れる。

メール・私:今、柚子ちゃんは、麻酔から覚めたそうです。CTの画像をパソコンに転送中とかで、終わり次第、説明を聞き、安定した柚子と4時位には病院を出られそうです。

メール・gre:了解です。5時半位に帰れそうです。

CT画像のパソコン転送に時間がかかるという。
待合室で呼ばれるまで、待つ。
40分後、再び、診察室へ。

モニターに映し出された画像を見ながら、結果が告げられる。
口を開けても判らなかった、軟口蓋という喉の手前が、悪性黒色腫だという結果だった。
しかも鼻の横の骨が溶けているという。

また、レントゲンで、心配されていた肺の影も、CTでは、たくさん見つかり、それは転移だという。
この肺の転移は、ステージ4。末期だということだ。

治療は、放射線治療、免疫治療があるが、放射線治療はじっとしていられない動物には毎回麻酔が必要なので、リスクが高いとのこと。
そして、この悪性黒色腫というのはやっかいな癌で、治療をしても、進行を遅らせる可能性があるだけとのことだという。
また、手術はしても、癌は取りきれないということだった。

リンパの腫れに関しては、病理の検査でわかるとのこと。
後日電話で知らせていただくようにお願いする。
しかし、転移の可能性大とのことだった。

覚悟はしていたが、あまりに進行していたのと、それは、死の宣告でもあったので、どうしたらいいのかわからなくなった。
柚子がいなくなることを想像して、震えた。

安定した柚子と対面。
検査の際に口を開けたことからか、興奮のためか、喉が渇いてたからか、久しぶりにお口が開いていた。

先生と今後は、病理の検査結果を電話で聞き、家族と相談をし、方向を決めていくことにする。
これから起こりうる変化、させてはいけないことなどを質問するが、担当の市川先生は飼い主側に立ち、意見をしてくれた。
このセンターで、治療もできるが、紹介側の代沢動物病院には、結果を報告するので、緩和ケアであれば、そちらで対応できるということだった。
そのほうがいいのではないかと思います。そんな風にも感じられた。

気が動転して「今してあげられる一番のことはなんですか?」という幼稚でバカな質問をした私に、
先生は、「柚子ちゃんにとって一番いいのは、楽しい時間を、病気だからといって抑制せず過ごすことだと思いますよ」そんなことを言ってくださった。

そして、「胃ろうもできますよ」そんなことを最後に言った。
これから、起こりうる変化を予感させる言葉だった。

義父が胃ろうだった。

食べ物を飲み込む嚥下が難しくなり、栄養を摂るために取った措置だった。
それまでに、色々やってみた。
赤ちゃんをなだめるように「お義父さん、ごっくんしてくださいね」そんなことを言いながら時間をかけて食事をした。
でも、ほとんどがうまくいかなかった。
それでもたくさん食べてくれた日は嬉しかった。
そして、嫌だと首を振って拒否されると、悲しく辛かった。

胃ろうを作る前、チューブを喉から胃に入れる、医療行為に近いことも経験した。
近親者しかできない行為。

胃ろうを作ってから、栄養は、高カロリーの経腸栄養剤を流し込み、摂るようになった。
その姿、辛かった。

5時少し前、greには、戻ることだけをメールで告げ、報告は帰ってからすることにした。
詳しいことは、言葉で伝えたほうがいいと思った。

メール・私:詳しくは、帰ってから。

5時半、家に到着。greは戻っていなかった。
甘夏、かぼすにご飯をあげたら、散歩に出るつもりだったが、柚子もお腹が空いている様子だったので、あげることにする。朝から水も飲んでいなかったのだから、当然だった。
診察室から出てすぐにおシッコさせ、水をあげたら、スゴい勢いで飲んだ。

まもなく帰宅したgreが、かぼす、甘夏のお散歩に行ってくれると言ったので、任せるつもりだったが、柚子も行きたがり、一緒に行く。

こんなに元気なのに…。

夕食前、greに報告。

幸せな時間を最期まで過ごさせてあげるということ、意見は同じだった。
延命という処置は二人とも考えていなかった。
望むことは、苦しく辛い毎日でないこと。
そして、その毎日が、幸せであること。だった。

それまでを看ていただくのも、代沢動物病院さんでお願いすることにした。
治療方法が限られていても…。
専門分野でないにしても…。

薄い出血あり。

かぼす、甘夏は心配で日中、熟睡できなかったのか!?夜、爆睡。


  

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