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柚子の闘病日記・no36


5月19日火曜日
 ベッドに敷いているたくさんのバスタオル。今日は、ほとんど汚れが見られなかった。
最近の柚子、起きてすぐは朦朧としていた。
喉が乾いているはずなのに、水を飲みに行かなくなってしまっていて、シリンジで与えてから散歩に出ていた。
ところが、今朝は違った。自分から飲みに行った。
それだからなのか?調子がいい証拠なのか?黒っぽくはあったけれど、たくさん鼻粘液は出た。

でも、昨夕から、少し息が荒い…。
けれど、昼、買い物ついでで1時間半連れて出た疲れもあるのか、日中は良く寝ていた。

かぼすと甘夏の2回目の散歩で、近所に住むダックス2頭を飼っている方にお会いした。
義母から聞いていたのだが、飼い主さんの方から片方のコの様子を話し始めた。
「以前やった乳腺の癌の手術の転移が肺にあって…」と…。
柚子のことは義母が話したらしく知っていた。
お互い、辛い様子を知り、悲しみを抱えるもの同士だなと通じた。
お世話が大変なようだ。
みかけは元気そうなのに、お家では、ただならぬご苦労があるのだろう。

柚子だって、お外で誰がこのコは癌を患っていて、辛い思いをしているとわかるだろうか。

昨日は夕方、二人の方に柚子の意識がクリアでないことを指摘された。
特にここ何日かで、右目と頬の腫れがひどくなった。そして目がうつろである。
いいか悪いかわからないが、サルファ剤の目薬を日に何回が点眼している。

ペットホテルを営んでいる方に言われた。「12歳にしては、元気がないわね」と。
アフガンハウンドを何頭も飼っていて、犬のことは良く知っている人なのだが、歯に衣着せぬ物言いの方。
「具合が悪いんで」と私。
「どこが悪いの」
「あまり言いたくないです」と返す。
その一言で察してくれた様子で
「犬は散歩して、楽しい時間たくさん持てればいいわよね~」と言った。
でも、そのやりとりは、痛かった。

小説「マーリー」を思い出す。
最期の安楽死の選択。嗚咽するほど号泣したけれど、可愛いわが子とも思えるペット。
その選択は勿論だが、病気と闘っているその時間は、もっと辛くてきびしい。
同じシチュエーションに遭遇した人なら、その時の情景がシンクロして、一瞬のうちに涙が出てくる。


5月20日水曜日
 今日も意識が朦朧としている。
「柚子ちゃん」そう呼びかけると、はっとした顔をして振り返る。
でも、状態はとても安定している。
最近は、苦しそうにしている姿がないように思う。良く眠っている。
鼻粘液は、今日も黒っぽいけれど、良く出ている。
食欲もある。
でも、食べた後、水を飲むとボウルが赤く染まる。それだけ、ごはんを飲み込むことは腫瘍を傷つけ、負担をかけているんだと思う。

でも、それは仕方がない。それでいいのだと思う。
悪性黒色腫という病だということがわかった時、願いは、痛み少なく、穏やかに余生を過ごせること。だったはず…。今は、そういう時をおくっている。

もしもこの先、私を誰だと認識できなくなっても、辛くない毎日が過ごせることは、当人にとって幸せなんじゃないかと思う。

夕方のお散歩、アイリュシュセッターのサリーちゃんのママたちと会う。
柚子の目の腫れを指摘される。
小型犬は、地面から近いこともあって、顔を認識している人は少ないと思う。
そのコがどんなに可愛いコかわかっている方は、少ないのじゃあないかと思う。

その時、柚子は抱っこの状態だった。
人の視線がすぐ届くところにあった。

アタシは、こう答えた。「そうなんですよ~」とだけ。
ボーダーコリーのショーンちゃんのママは「眼帯が必要なんじゃあない」そう云った。
それぐらい傍から見たら痛々しく酷いのだ。

義母も昼の柚子の散歩の時に云った。
「柚子ちゃんの頬、ひどい腫れね」と…。
私はこう答えた。
「楽しいお顔になっちゃったの」と…。
内心、結構傷ついていた。
義母には、どんな病気かということを知っているので、そっとしてほしかった。

わが子の変化、近くにいる者は、承知している。
確認するように言われることは、悲しかった。


5月22日金曜日
 昨夕会ったサリーちゃんのママに、柚子をバギーに乗せて特別待遇している時に会ってしまった。
のんびり、ゆっくり歩かせているその姿に、
「靭帯だっけ?まだ足悪いの??」そう聞かれてしまった。
「ちょっと、具合悪いんです。そのせいで、頬が腫れてるの」と私。
「そぅ~、お大事に」とママ。
多くを追求しない。その空気を読んでくれる優しさを、ありがたいと思った。


  

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