◆お稽古のお菓子◆

2008年6月~8月

菊家 ”水無月” 菊家 ”瑞雲”(きみしぐれ)
菊家 ”青梅” つきじちとせ ”ひとつぶ桃”
風流堂 ”鮎” 虎屋 ”おもかげ”
鍵善良房 ”園の賑わい” 直中仙太郎 ”葛饅頭”
鹿乃子 ”豆藝もなか” たねや ”蓮子餅”
直中仙太郎 ”水羊羹” 紫野 和久傳 ”西湖(せいこ)”
老松 ”酔芙蓉” 老松 ”粟羊羹”
老松 ”青瓢” 紫野 和久傳 ”紅(くれない)”

2008.6.11 菊家 ”水無月”

”水無月”は、6月頃によく食べられ、外郎(ういろう)の上に小豆の粒餡を散らしたようなもので、
三角形に切り分けて売られることが多い和菓子です。
水無月の上部にある小豆は、悪魔払いの意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表しているといわれています。
京都では6月30日は「夏越祓(なごしのはらえ)」が行われ、この”水無月”をいただく日とされているようです。

”夏越祓”…”水無月の祓い”とも呼ばれ、1年のちょうど折り返しにあたる、6月30日にこの半年の罪や穢れを祓い、
残り半年の、無病息災を祈願する神事です。

菊屋さんの”水無月”はその古式ゆかしき形で、
紫陽花の葉(でしょうか?)が添えられ季節感と、涼感をも感じました。
腹持ちも、よろしいお品。


2008.6.11 菊家 ”瑞雲”(きみしぐれ)

一子相伝の特製黄身しぐれは、お口の中でほろっと溶けてしまう
口溶けが自慢だそうです。
美しい黄色は目に鮮やかで、シューのような姿は可愛らしく、
ご自慢のお味は、きみしぐれフリークの私には、たまらないお味でした。

  
     
2008.6.11 菊家 ”青梅”

季節感を大切にされる、菊家さんのお菓子のこの美しさ!
若草色の求肥に、柚子餡の黄色。
薄暗いお茶室に、若葉の季節を、たっぷり感じました。



2008.6.24 つきじちとせ ”ひとつぶ桃”

TVチャンピオン高橋弘光名人と、共同開発の夏の新創作和菓子だそうです。
成熟前の珍しい幼い白桃の実、”幼果桃”(ようかとう)を、丸ごと一粒さっぱりとした桃餡に包んで
葛をかけて、桃の形に仕上げてあります。
見た目も涼やかで、可愛らしく幼果桃の香りが口いっぱいに広がり、さっぱりした食感の涼菓でした。
葉が本物なら言うことなし。諸事情おありなんでしょう。


2008.6.24 風流堂 ”鮎”

松江の和菓子文化を根付かせた、茶人として名高い第七代松江藩主、松平不昧公は
十八歳で茶道に出会い、生涯に数多くの茶会を開いたそうです。
松江の風流堂さんはその時の茶会記を基に「不昧公好み」の銘菓を復活させたそうです。
”鮎”はしっとりとして甘みのある外皮に、求肥餡を包んだ季節のお菓子でした。



2008.6.24 虎屋 ”おもかげ”

始まりは奈良時代とも伝わる名店の代名詞の羊羹は
変わらないパッケージにもこだわりがあるように感じます。

その虎屋さんの代名詞”夜の梅”は虎屋さんが
ギャラリーで展開する
オリジナル商品にも反映されています。

昨年、虎屋さんの虎の描かれている
”夜の梅”のための、有田焼の八寸皿を
友人のプレゼントにいたしました。
この虎、カルティエの豹にも似ている…。

この日いただいた ”おもかげ”は
記憶に残る人や、事柄を思い出させるという言葉のように、
懐かしい黒砂糖入りの羊羹ですが、
さすがに伝統のお味でした。美味しい!

一棹を厚目に切っていただく、
どんなお茶にも相性のいい逸品は
ご贈答用に選ばれるのもうなづけます。



2008.7.6 鍵善良房 ”園の賑わい


喫茶でいただく”葛きり”が有名な、”かぎぜんよしふさ”さんの干菓子は色とりどりの詰め合わせ。
季節により内容が変わるそうですが、
この日は、流水をイメージした観世水の水色を中心に、夏らしいゼリーなどのお菓子を選びました。
先生の京都土産です。



2008.7.6 直中仙太郎 ”葛饅頭”

この日はお茶室をお借りして、先生にご指導を受けたお稽古をいたしました。
暑さ対策がされていない和室は、釜の熱もあってたまらない暑さ。
そんな日にいただいたお菓子は、この季節の涼しげな葛のお饅頭。

2枚の桜の葉はほんのり塩味が効いていて、一緒にいただいてもいい感じでした。
透明な葛の水泡は、水しぶきのようで、見た目にも、本当に爽やかでした。



2008.7.24 鹿乃子 ”豆藝もなか”

銀座の老舗「鹿乃子」は“鹿の子”の専門店です。
さすがに、丹精に仕上げられた餡はしっかりとしたお味で、最中の梅の形は、雅な感じがしました。


2008.7.24 たねや ”蓮子餅”

蓮の根から創り出されたお菓子は、仏の坐する蓮の葉に置く、露の珠の美しさをイメージしたものなのでしょうか?

蓮葉の梅雨に朝の光が投げかけられる時、珠の中には極楽浄土が宿るそうですが、
透明な飴色は涼しげで、口の中にぷるるんとひろがる食感も、涼感を呼ぶような気がしました。


2008.7.24 直中仙太郎 ”水羊羹”

桜の葉で包まれたその涼しげな外観も、塩漬けの桜の葉もイイ感じにマッチして、
みずみずしい味わいでした。
直中仙太郎さんのフレッシュさを、堪能できた水羊羹でした。


2008.8.8 紫野 和久傳 ”西湖(せいこ)”

れんこんと和三盆で作った、この時季限定の和久傳の生菓子です。
ニ枚の笹の葉で包まれていて、いい香りがします。

箱の中ではたくさんの新鮮な笹に囲まれていて清涼感が漂いました。

和三盆の品のいい甘さとモチモチとした食感で。
つるりと口の中に運ぶと、爽やかな口当たりでした。

雅で、ちょっぴり贅沢感のあるこのお菓子は、少し冷やしていただいたほうが美味です。
かたくなった場合は蒸すと元のように美味しくいただけるそうですが、消費期限は4日間です。


箱に西湖のイラストのシール、演出もさすがデス。


2008.8.20 老松 ”酔芙蓉”

古来の宮廷や武家の札式、故事などにちなんだ菓子で、宮廷への献上したものをいう有職菓子。
店名の横には有職菓子御調進所とあります”老松さんの活動は、
この儀式典礼にもとづく婚礼菓子、茶席菓子作りを中心にお菓子を通して、
京都の歴史と文化を伝えていらして、お茶やお菓子の世界にとどまりません。

学校教育現場に赴いて、菓子づくり講習会や、京都の文化に関する講演を行ったり、
海外での茶会、レセプション等における日本文化紹介コーナーを担当するなど、菓子に限らず、
伝統文化のすばらしさを伝えていくための、幅広い活動を行っていらっしゃいます。


「酔芙蓉(すいふよう)」とは、朝のうちは白く、夕方になるにつれてだんだん赤くなるという芙蓉の中でも珍しい花。
夏の風物詩とも言えるこのお花の特徴は、ハイビスカス属である花芯でしょうか。
その花芯と、花びらが赤くなるさまが、鮮やかな職人芸で表現されています。


餡は白小豆と手亡豆。甘さを控えめの上生菓子でした。




”老松”さんの手提げ袋。黒の松。赤の持ち手は、古き良きもののデザインなのでしょうか?素敵!


2008.8.20 老松 ”粟羊羹”

粟は使用していないようです。
生地が粒々としているところが、粟のように見えるから、粟羊羹としたのでしょうか。
農作物の収穫期でもある、豊穣の秋の到来を、象徴するお菓子です。
ふんわりとした口どけで、ういろうのようでした。
氷餅でお化粧して涼しげ、色は粟色というよりレモン色。


2008.8.20 老松 ”青瓢”

透明な美しい色は、瓢箪の別名『ふくべ色』。残暑の中の目に、爽やかに映りました。
しっかりした寒天菓子で、中の琥珀色の点は大徳寺納豆。
この納豆の風味が独特の香りを放ち、存在感がありました。

青瓢(あおふくべ)とは、俳句の世界では秋の季語ですが、茶道の世界では8月の銘として使うようです。

古来より、その形を愛でられてきた夕顔の仲間で、
飲料の容器として、また縦に割り杓文字や柄杓としても使われ、
また、災難除けの呪具としての意味もあるそうです。

夏の夕方花開く夕顔。その実が瓢箪になりますが、白い花も風情があります。


2008.8.8 紫野 和久傳 ”紅(くれない)”

紫野和久傳(むらさきのわくでん)の、典座料理(てんぞりょうり)の「典座」とは、
本来禅寺で、僧たちの古より食した人が、健やかになるよう心がけて、食事をつかさどる役のことを、言うそうです。

お店では、そのような典座の思いにならって、動物性の食材を一切使わず、
よき水、よき土で育った野菜を中心に調理し、 滋味滋養をまっすぐお届けするためのひと手間を惜しまず、
心身を健康にするお食事を「典座料理」としてお出ししているそうです。

その京都・大徳寺の門前に、静かにたたずむ『紫野和久傳大徳寺店』では、
各種「おもたせ」をお取り扱いしていらっしゃいます


こちらはその一つ。
紅花のイラストが描かれた包装で紙箱に12個 で1,050円なり。

写真では、本来の紅の色、撮れませんでした。
美しい天然の淡い紅色です。

輪が9つのものと傳の文字、要するに“和久傳”という意匠。
洒落ています。

染司よしおかさんの工房で造った天然本紅を、上質の和三盆と合わせて、仕上げた口どけのよい紅色のお干菓子。


紅花は染料の他、高血圧などに効く和漢薬としても、知られています。




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