◆お稽古のお菓子◆

2012年11月10日

亥の子餅”綾衣” ”若緑”

2012.11.10 東宮 ”亥の子餅”

「茶人の正月」とも言われる、11月は開炉の月。
「口切り」という茶壺の封を切り、新茶を賞味する行事も執り行われる特別な月です。

根津美術館は庭園に4つもお茶室のある美術館ですが、
茶道具も素晴らしいものがあって、
私が訪れた時、所蔵している茶道具が見られる第6展示室では、
【口切り】のお題で茶室が設えてありました。
なんと!古田織部作の茶杓もありました。
(根津美術館へ行った時のブログ)

今年の旧暦の亥の日は、11月22日ですが、
その日に無病息災を願い、子孫繁栄を祈る行事の日に頂く”亥の子餅”。
11月になると店頭に並び始めます。

『源氏物語』「葵」の巻にもみられる亥の子餅。
平安時代の宮中の年中行事の儀式であったといいます。
 西日本では、今でも玄猪、亥の子の祝い、亥の子祭りともいわれた行事がも催されているようです。

和菓子は、季節を目で感じていただくものが多いですが、
この亥の子餅は、いにしえの行事を反映しているものになりましょうか?
本来なら22日にいただくものなのでしょうが、毎年一回しかお目見えしないこのお菓子、
せっかくですからお抹茶でいただきたいものと、今回、開炉のお稽古の日登場とあいなりました。。

見た目は、地味ですが、その形は、やはり猪。
今日いただいた亥の子餅は、世田谷千歳船橋の菓匠【東宮】さん製です。
焼印で猪の牙を象わしたものも多くありますが、
ご覧の通り、色も、今までいただいてきたものと違いました。
黄色味を帯びていて、その奥に、ごまがうっすら透けて見え、猪の模様のようになっています。
きな粉を使ってあるのでしょうか?

何をいただいても、東宮さん、美味しいのでございます。

お菓子が美味しいと、豊かなお稽古の時間が一層増します。

2011.11.19あんやさんの亥の子餅
2010.11.28仙太郎さんの亥の子餅
2008.11.6鶴屋吉信さんの亥の子餅
2007.11.9鶴屋吉信さんの亥の子餅


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2012.11.10 松翁軒”綾衣”


 カステラで有名な、長崎【松翁軒】(しょうおうけん)さんは、長崎県長崎市にある
1681年創業の”カステラ元祖”を名乗る老舗だそうです。
なんと300余年の歴史。
そのお菓子作りにはたいへんなこだわりがあるといいます。

カステラが主な製品ですが、こちらの柿のお菓子【綾衣】は、期間限定の季節を感じるお品でした。
国内産の柿の果肉をほぐし細かく刻み、
寒天でとどめ、風味を生かすよう丁寧にあつらえた一品だそうです。

”錦繍菓”という頭文字がついています。
錦繍(きんしゅう)とは、
1、錦(にしき)と刺繍を施した織物。
2、美しい織物・衣服。「-を身にまとう」
3、美しい紅葉や花のたとえ。「-の山々」
4、美しい字句や文章のたとえ。「-を重ねた文章」
という意味で使うそうです。
季節柄、3の美しい紅葉をイメージしたということででしょうか?

「茶人の正月」とも言われる、開炉の月は、
正月と同じく、松竹梅や、松菊などお目でたいものに加え、
『柚や橙』、『柿』、『紅葉』、『銀杏』などの季節感を添えたものを、取り合わせるといいますから
このお菓子もまさにぴったりのお菓子といえるでしょう。

柿本来の甘さを生かしたつるりとした食感は、喉ごし良く、
また、口いっぱいにひろがる香りは、秋をイメージしながらいただける上品なお品でした。

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2012.11.10 松浦金盛堂若緑


 
大浦金盛堂の【若緑】。
佐賀県唐津の銘菓だそうです。
上のお品と共にお茶仲間がお持ちくださった九州のお土産です。

地名からもわかるように、唐津は昔、
唐(から:韓・唐)などの大陸との窓口(津・港)だった
多くの生命を育む豊かな海、玄界灘を臨み、深く清らかな自然の山々に守られた地。
優雅かつ雄厳な自然の神韻と、万葉の風・桃山文化の薫りを感じる、
歴史浪漫に満ちたところだといいます。
私の大好きな焼き物でも有名です。

手前の白っぽいものが【若緑】
白く見えますが、その名の通り若緑色をしています。

素朴な昔の味わいのこのお菓子は、
黒松の若葉をイメージしたそうです。

固い食感。
見た目は彩としてご用意いただいた奥の黒いかりんとうと同じようですが、
原材料に油脂の表示がないので、焼き菓子なのかもしれません。

なんでも、明治時代からあるお菓子だそうです

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