◆お稽古のお菓子◆

2007年9月~12月


小島屋 ”けし餅” 庄之助 ”ごま大福”
壽堂 ”黄金餅” 岬屋 ”栗蒸羊羹”
川上屋 ”栗きんとん” 岬屋 ”瑞鹿”
壷屋 ”手造り羊羹”(栗) 仙太郎 ”黒米ぼた”
塩瀬総本家 ”織部饅頭” 鶴屋吉信 ”亥の子餅”
たねや ”どらやき” 緑屋老舗 ”栗金飩” 
o2Patisserie ”フロランタン・フィグ・ショコラ” 
鶴屋吉信 季のこよみ(銀杏)
東宮 ”初霜” 東宮 ”唐錦
東宮 ”福寿” 正庵 ”銀杏餅”
正庵 ”黒ごま大福” 新杵 ”焼大福”(醤油)
両口屋是清 ”古露柿” 塩瀬総本家 ”柚子薯蕷饅頭”
仙太郎 ”渋栗蒸羊羹” 虎屋 ”子の夢”
花園饅頭 ”雪うさぎ” 桃林堂 ”黄味しぐれ”

2007.9.25 小島屋 ”けし餅”

創業三百十数年の伝統を持つ”小島屋のけし餅”は大阪・堺の銘菓と知られているお品だそうです。
それを良く知る方から、お茶の席でぜひにと、贈られました。
けしの実は、室町時代インドよりもたされたそうですが、
江戸時代初期より大阪、堺、和歌山周辺で盛んに栽培されるようになったそうです。
そんなけしの実を、小豆のこしあんを餅皮で包んだものに、たっぷりとまぶしてあって、
プチプチと独特の食感が楽しい感触でした。





 2007.9.25 庄之助 ”ごま大福”

大相撲立行司、22代木村庄之助の息子さんが、昭和24年に創業し、軍配型の 「庄之助最中」、
力士の名をとった「栗果山」「梅実山」他に「徳俵」など相撲にかかわる名前のお菓子が多い庄之助さん。

”ごま大福は、半すりゴマとつぶあんの、取組(とりくみ)が売りだそうです。

人気のお味はすべて手作りで、創業当時の味を守り、
材料の調合など一切変えず、伝統の味を今に伝えているということです。

素朴な存在感の外皮、餡はどちらも食べ応えがあり、お値段も150円とお手ごろ価格。

お店の他では、一月場所、五月場所、九月場所の折に国技館で買うことができるそうです。


 2007.9.25 壽堂 ”黄金餅

お店の顔の ”黄金芋”、
袋の封を開けると、肉桂(シナモン)のいい香りが漂ってきます。
見た目は、スイートポテトですが、全体にまぶされたこのお菓子、かなりスパイシーです。

パッケージは、歴史を感じる粋な意匠で惹かれます。
焼き芋を入れた袋のイメージなんでしょうか?そんな感じがいたしましたが、
四季の銘菓が書かれた桜餅二銭の時代の壽堂のお品書きでした。





 2007.9.30 岬屋 ”栗蒸羊羹

 富ヶ谷にある岬屋さんのの栗蒸し羊羹は、竹の皮に包まれていて、昔ながらの雰囲気のある外観です。

 直径約19cmで、2100円也。
 厳選された材料と丁寧なお仕事は、有難いお味から納得するお値段です。

 大きな栗がごろんと入っていて、どこを切っても栗、くり、クリです。
 お味はあっさりとした甘さで、品が良く、羊羹と栗のコンビネーションがどちらも主張過ぎず絶妙です。

 岬屋さんは、羊羹には定評があるので、その思い入れ、たっぷり感じました。
 羊羹というよりは餡をいただくという印象でした。


2007.9.30 川上屋 ”栗きんとん”

 岐阜の栗きんとん屋さんは数々ありますが、本日は、中山道の宿場町中津川の川上屋さんの栗きんとん。

 美濃路から木曽路にかけて特産の栗と,選りすぐりの国内産の栗を、無造作に荒っぽく砕いて餡に炊き上げて,そのまま茶巾で絞ったもので自然な淡黄色に仕上げているそうです。

 栗本来の香りがする季節感を感じる豊かな味わいでした。


2007.10.4 岬屋 ”瑞鹿”

瑞鹿(ずいろく)というこの菓銘は、この菓子の景色が鹿の背の模様に似ていたことから
円覚寺派管長により、山号である 「瑞鹿」 の銘を、拝領したことに由来しているそうです。

奄美大島の含蜜糖(きび糖)を、使用しているということなので、黒糖の風味があります。
散らしてあるのは、大徳寺納豆ということです。

上品で抑え目な色合いと、風情のお菓子は半生菓子という感じで、
落雁のような食感でありながら、少し柔らかめの焼き菓子であるような、そんな感じがしました。




2007.10.4 壷屋 ”手造り羊羹”(栗)

 北海道旭川の壷屋さんの手造羊羹は、最高級の小豆を表皮を除去し、芯の部分だけで練り上げ、薄墨の如くぼかし仕上げているのが、特徴だそうです。

 昔ながらの製法で、丹精込めて作り上げた、手づくりならではの自信作は、この栗の他、小倉(粒入り)、小豆(煉り餡)、黒糖、の四種があるそうです。

 芯の部分だけで練り上げたというのが、羊羹としては軽い口当たりのような感じがしましたが、甘さはしっかりとしていました。

 季節の栗は、翡翠の中にある偶然のようで、姿が美しかったです。


2007.10.28 仙太郎 ”黒米ぼた”

東京渋谷の東横のれん街店の仙太郎さんは直中(厨)房で、全てをつくるそうです。
“直中(ただなか)”とはは“まっただ中、純粋な、まっ直ぐな・・・”という意味。

手づくり、無添加、できたて、これこそが生菓子の真髄という姿勢です。
素材は身土不二(自分の生まれ育った場所で採れる作物が一番身体にやさしく、そして美味しい)
を軸とした商品を取り扱っていて、全てが国産ということです。


もち米は滋賀県甲賀の羽二重を使用し、少し玄、あるいは胚芽を残すため八分づき。
粒あんは、原種育成栽培した丹波小豆で炊き上げてあるそうです。

”ぼた餅”本来の味を堪能できる人気商品は牡丹という名に相応しく、1コ120gと大振りです。

本来ボタ米から作ったから”ぼた餅”と呼んでいたものが、春にはその姿が牡丹の花のようだというので”牡丹餅”に、
秋には、小豆の粒が萩の花の咲き乱れているようだと ”萩の餅”、”お萩”と、呼ばれるようになったということです。

10月の仙太郎さんのぼた餅は、オリジナルのポリフェノールたっぷりといわれる古代米の黒米を素材に使ったぼた餅。
外側のまぶし粉は氷餅でしょうか?
つぶ餡、黒米とコラボレートが独特の食感となり、おかわりをしたいほど気に入りました。


2007.11.9 塩瀬総本家 ”織部饅頭”

 六百五十余年守り続けた伝統の味の塩瀬饅頭。
 大和芋を摩り下ろし、上新粉と砂糖を加えたものを職人が手作業で練り上げた皮はで本当に上品で、滑らかです。

 薯蕷饅頭は、たかが ”饅頭”ではない、品格さえ感じます。
 自慢のお味は、お饅頭の味を、再認識します。

 織部饅頭は、薯蕷饅頭の包み皮に、織部焼きの釉の緑色を染め、井桁などの焼印を押したものがあるようです。

 この日は、炉開きに、『織部』 と名のつくものを何か一品使うというしきたりにならって、このお饅頭を選びました。


 東京明石町 塩瀬総本家 のお饅頭は、楽天で購入できます。

2007.11.9 鶴屋吉信 ”亥の子餅”

 ”亥の子餅”は、古代中国で旧暦10月亥の日亥の刻 (午後9時~11時)に穀類を混ぜ込んだ餅を食べることを良いとした風習によるものとされています。  日本でも平安時代頃に伝えられ、猪子形に作った「亥の子餅」を、朝廷に献上する儀式があったそうです。やがて民間の行事としても定着し、農村では丁度、刈入れが終わった時期であることか、ら収穫を祝う意味でも行われたようです。
 また猪は、1年に12匹の子供を産むとされ、猪の多産と健康にあやかりたいという願いから、民間にも広まり、こうした習慣を定着させたとも考えられているといいます。
 他にも、亥は陰陽五行説では水性に当たり、火難を逃れるという信仰があり、このため江戸時代には、亥の日を選んで炉や炬燵を開き、火鉢を準備すると、火災を逃れるともされていたようです。

 茶道では、今でも亥の日に、"炉開き"の茶席菓子として、この”亥の子餅”を用いるのは、この風習に由来しているそうです。

鶴屋吉信さんの ”亥の子餅”は、卵型で、滑らかな食感の皮で、漉し餡が品のいいお味でした。


2007.11.9 たねや ”どらやき”

”たねや”さんは琵琶湖の東岸に広がる近江湖東平野で江戸時代より穀物や根菜類の種子を商っていたそうです。
その後、時代の大きな変革期を迎えた1872年(明治5年)に屋号はそのままに、菓子舗「たねや」として誕生したということです。
天秤棒一本で、行商の旅を続けた、近江商人たちの商いに対する行動力と創造力を大切に、
135年の味を伝えてきたといいます。

四季折々の風情をうつす和菓子は、その時々季節の素材を産地へ足をはこび、納得のいくまで吟味され、
よもぎは、自社農園で栽培するところまでこだわっているそうです。

”どらやき”は瑞々しく炊き上げた北海大納言とあっさり仕上げた北海白小豆の二種類。
しっとりと形良く綺麗に焼き上げた小ぶりの生地に、餡がたっぷりはさみ込まれた品の良いお品でした。


2007.11.11 
  緑屋老舗 ”栗金飩” 

 o2Patisserie ”フロランタン・フィグ・ショコラ” 鶴屋吉信 季のこよみ(銀杏)

元祖栗金飩の ”緑屋老舗”さんのお品は、茶道の先生のお気に入りで、こだわりのお品でもあります。
栗きんとん、数々あれど、岐阜県加茂郡八百津町の創業明治5年の緑屋さんなのです。

さすがに元祖だけあって、ほのかな甘さと、程よい粒かげんの逸品です。

この日は主菓子と干菓子の組み合わせ。
鶴屋吉信さんの季のこよみは秋の銀杏のお干菓子。
o2Patisserieのアーモンドの焼き菓子。木の実というところや色合いに秋を思わせてくれました。
 
緑屋老舗 ”栗金飩は、楽天で購入できます。


2007.11.15 東宮 ”初霜”

”東宮”さんは、千歳船橋駅の駅からすぐの、懐かしい雰囲気の漂う和菓子屋さんです。

初代は、「西のきぬかけ、東の東宮」 といわれた名職人で
昭和36年の創業ながら、数々の大会で受賞を果たし、その名を全国に広めたそうです。

ひとつひとつ丁寧に作られる上生菓子は、年間で約200種類ほどあるそうで、どれも匠の技を感じます。
季節感溢れる上生菓子は、お茶席に使われることも多いそうです。

材料も吟味され、砂糖は和三盆、小豆は皮がやわらかで大粒の備中産を使っているということです。
店頭に置かれた干菓子、わらび餅、最中、葛湯などの他、
日持ちのする”仙龍””白寿”もオススメです。

いただいた”初霜”は栗のそのままの自然な色あいが、霜がお化粧された粉糖で表現され、
粒餡との相性も良いお品でした。


2007.11.15 東宮 ”唐錦

この美しさ。お茶菓子ならではの優雅さです。黒文字で割れば、いっそう三色のコントラストが鮮やかです。
秋の紅葉の姿を想像し、茶室が華やぎました。

単に、姿が綺麗な煉りきりというだけではなく、抹茶との相性も抜群でした。



2007.11.15 東宮 ”福寿”

地味な色合いですが、仕事が細かい。
お多福豆か花豆のオンパレードです。花のような形に仕上げられた中身も同じお豆の餡。
豆の美味しさを堪能できるお品でした。


2007.11.28 正庵 ”銀杏餅”

裏千家”今日庵”は、利休居士の孫千宗旦によって建てられた隠居の茶室ですが、
その露地に、樹齢500年位たった守神の様に大事にされている銀杏の大木があるそうです。
三代元伯宗旦が植えたという裏千家のシンボルで、”宗旦銀杏”と呼ばれているということです。

その昔、京の大火があり、葉に水分を多く含むため、燃えにくいこの銀杏の木が、火事をくい止めたことにより
裏千家のお好みの図案とされ、代々、銀杏の文様を取り入れたお道具がたくさん作られてきました。

今もこのイチョウにちなみ、十一月十九日の宗旦忌では、その実を使った「銀杏餅」が茶菓子が使われています。

この前後に”銀杏餅”は出回りますが、正庵さんのものは
イチョウの実である銀杏を上にあしらい、道明寺の餅の中には、さらに食感を生かすために白ゴマがたくさん入っていました。
中は漉し餡で、添えられた眩い黄色の葉が晩秋に華をそえる姿でした



2007.11.28 正庵 ”黒ごま大福

”ごま大福”は正庵さんの、人気第2位の商品だそうです。
深煎りの黒ゴマのが、餅皮のなかにぎっしりつまっていて、
ちょっぴり塩味が効いて、漉し餡の甘みをひきたたせていました。


2007.11.28 新杵 ”焼大福”(醤油

終戦直後の混乱期、当時の幣店主が豆大福を七輪であぶって提供して、
好評を得たのが”焼大福”のそもそもの始まりだそうです。
元祖新杵さんは、当時の味をそのままに、食べやすい小振りなサイズで再現し、商品化されました。

この醤油の他、豆、抹茶、梅しそ、草、桜、芋、こし、青のり、栗、金時、胡麻の12種類があります。

いただいた焼大福は、醤油という素材こともあったのでしょう、
焼いたという作業で、香ばしさが増し、餡との甘みが独特の旨味を感じました。


2007.12.6 両口屋是清 ”古露柿”

ころ柿を漢字で書くと 「枯露柿」 と書くそうです。
ころ柿の名前の由来は、農家の方が、よく陽があたって乾燥するようにと、
ころころと柿の位置を変える作業をしたことからだということです。
今でも、農家の軒先いっぱいに吊るされる懐かしい景色は、この季節の風物詩です。

大きな渋柿の皮を剥いて天日干しし、一ヶ月ほどで乾燥した柿の周りが白くなるこの枯露柿を、
両口屋さんは、皮は蕨粉製、中は干柿を入れた小豆の粒餡で生菓子に仕上げ、12月の前半のみ販売されていました。
目で、そして口で味わうということが、日本人の季節を愛でる心でもあると、感じました。



2007.12.6 塩瀬総本家 ”柚子薯蕷饅頭

六百五十余年守り続けた伝統の味の塩瀬饅頭の12月は、季節の柚子を使用したお品が展開されていました。
表面に柚子のでこぼこ感をも表現し、中には柚子の香りの上品な餡。
職人の手による手作業のわざはさすが、お饅頭の名店です。


2007.12.6 仙太郎 ”渋栗蒸羊羹”

直中仙太郎さんの大胆な栗蒸羊羹は、渋付きの栗がたっぷり。
ただただ、その美味さに、毎度のことながら、作りたての有難さを感じるのです。
甘さ控えめで、栗の食感を限りなく感じられるお品でした。



2007.12.19 虎屋 ”子の夢”

虎屋さんでは、四季折々の自然と季節感あふれる美しい日本の風情を表現した生菓子は、
毎月2回、半月ごとに種類が替わります。
12月の生菓子は、餅製 紅餡入り(新粉、糯粉、白小豆)の来年の干支の子を可愛らしく意匠化したお品。
しかも、こちらは、12年後に出会えるかどうかというお菓子です。
数々の菓子台帳のある虎屋さんですから、12年後に、このねずみちゃんが採用されるとは限りません。
紅餡が美しく、子の顔をピンクに染めたところもさすがに繊細なお仕事ぶりです。
来年の福を願っていただきました。



2007.12.19 花園饅頭 ”雪うさぎ”

大和いもの皮、粒選り小豆、最高のザラメ、四国三盆糖を原料に火加減よく練り上げ、
あっさりした上品な甘みを醸し出した餡で包んだお饅頭屋さんの薯蕷饅頭は
可愛らしい冬のイメージを表現したものでした。



2007.12.19 桃林堂 ”黄味しぐれ”

通年販売の生菓子『きみしぐれ』 は、小振りな大きさで¥294也。
色鮮やかでフランス菓子、”カヌレ”の様です。
釣鐘型のその形、卵をイメージしたものなのでしょうか?
外の黄味餡は勿論、中の餡もまったりとして、おいしゅうございました。
黄味餡、大好きです!




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