◆お稽古のお菓子◆

2008年10月19日


虎屋”秋の彩” 諸江屋 ”わび/タンス” 末富”華ふうせん”

2008.10.19 東京赤坂 虎屋 ”秋の彩”

虎屋さんのお菓子のお値段は他の菓子舗と比べるとちょっぴりお高め。
けれども、その接客態度やいただくお菓子への心遣い、意匠に至るまで、
全て含んだお値段なのでしょう、不満の残るようなことがありません。

今日いただいた上生菓子は、
深まりゆく秋に、野山の木々が色あざやかに錦を思わせるかのように美しく紅葉していく風情を
紅と黄のそぼろで表現したそうです。
日本の美しい四季の情景を映した、季節のお菓子は、彩りゆたかで、本当に素晴らしいです。

初出年は平成3年(1991)と比較的新しいお作品です。
なにせ、歴史ある虎屋さんですから、膨大なお菓子のデザイン帖が存在しています。
その中から、選ばれたものが、毎月2回、半月ごとに種類が替わり、お目見えいたします。
一生かかってもいただけない数です。
しかも、その半月ごとの種類もだいたい7種類あるのです。
月に14個×12ヶ月で98個。一期一会を感じます。


”秋の彩”はきんとん製。中の小倉餡は、つぶ餡でした。
その小倉餡の周囲は黄色い餡。白小豆でしょうか?
しっかりと甘く、大きさもそれなりなので、たっぷり目のお茶をリクエストしたくなりました。

白小豆は、とてもデリケートで栽培が難しい、高価で貴重な原材料だそうですが、
虎屋さんでは指定の農家に栽培を委嘱するなど、品質と安定量の確保に努め、
生菓子の白餡にはこの希少な白小豆を100%使用しているそうです。

虎屋さんの07/12月の”子の夢”はこちらから
08/1月の”木花文庫はこちらから



2008.10.19 金沢 諸江屋  ”わび/タンス”


金沢の諸江屋さんは、江戸時代末期の嘉永二年(1849年)に創業以来、
160年にわたり「金沢」と共に歩み続けている全国でもめずらしい落雁専門店だそうです。

今回は、我がお茶シスターズのお料理の専門家が、こちらをぜひにとお持ちくださいました。
お菓子に限ったことではありませんが、
その土地のものは、その土地に暮らす人しか、なかなか馴染みがないものです。
こちらのお菓子はこの金沢に暮らす方から享受されたということなので、その知名度がうかがい知れます。

落雁は落雁粉とよばれる糯米(もちごめ )の粉と砂糖、とくに四国の和三盆を使うそうです。
口のなかで、すっと溶けるほどけの良さ 、あと味のさらりとした甘さ、和三盆の味わいを引き出すには、
落雁を打つ方法にコツがあるそうです。
表面は硬く、中はふんわり、表面が溶けた時に口のなかで一気にふっと広がるように木型に叩き込む。
技術がものをいう作業のようです。

落雁は文化文政年間(1804~29年)に精巧さと華麗さの面では頂点に達し、
将軍家大奥の女中に好まれ、食べやすいようにごく薄く作られたそうです。
少し古くささの感じるお菓子のように感じるのはそういった歴史があるからかもしれません。

お干菓子はまず見て楽しむものと言いますが、いにしえ人の営みを偲びながらいただくのは、
五感を研ぎ澄まし、日本人の寂、侘の心を感じるということなのかもしれません。


金沢 諸江屋の落雁は、楽天で購入できます。



2008.10.19 京都 末富 ”華ふうせん”
 
前回は上生菓子を堪能させていただいた末富さんですが、今回は麩菓子”華ふうせん”の登場です。
甘さが際だった主菓子、落雁をいただいた後の締め括りにはぴったりでした。
サクサクっとしていて、口の中では舞うかのような食感。
甘すぎず、べたべたせず、意匠は、はんなりと京都らしいキュートな風情。

菓子を収めたブリキ箱も、レトロな飾り気のない素朴な菓子缶で
着物の半襟付けのお裁縫セット入れなどに重宝しそうです。

お抹茶をいただく以外にもお茶請けにも合いそうです。
また京都では名前の通るブランドですし、
お値段もお手頃、日持ちがして、軽いので、ちょっとした手土産に良さそうです。


 

上生菓子はこちらから
干菓子”うすべに”はこちらから



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